長屋宏和
オフィシャルサイト
コ GO BACK TO コ
第29章 現実を見て
あまりこのことは書きたくはなかったのですが、アメリカに来て、実感し、自分の中でとどめて置くより、皆さんに分かってもらいたく勇気を出して書きます。
頚椎の骨の中には神経があり、首の骨を損傷したことで、神経がそこで切れ、首から下に麻痺があります。頚椎損傷でも完全に神経が切れている人を完全。そうでない人を不全と言います。僕は完全です。頚椎は8本あるのですが、損傷した場所により、レベルが違います。僕は下から2番目のC6というレベルです。C6と言うと、指が使えない。胸から下も神経の麻痺があり、当然、歩くことも出来ません。腕も外側の神経が働いていない為、当然筋肉も使えません。たとえて言うと、腕を曲げて、伸ばす筋肉がそこでしょうか。
アメリカに来て、いろいろな情報を頂きました。当然、手術のことです。
今、指が動かないと言う問題がありますが、手には2つのけんがあり、その1つを取り、親指に移植するという手術です。これは手が使えないという不自由なことを親指だけでも使えるようにする方法です。親指だけでも使えれば、物もつかめる様になるし、だいぶカバーできるでしょう。しかし、僕はしません。理由はその手術をしたことで、完全に治った時に移植するのに取った場所がなくなり、動かなくなると言う問題があるからです。
ここからが本格的な手術です。1つ目は鼻の神経細胞を取り、頚椎に注入し、再生する方法です。鼻の神経は再生機能があり、取っても復活するそうです。これは中国、オーストラリア、ポルトガル、スペインなどで行われています。現在、この手術は実験段階ですが、成功例があります。でも、成功例がありますが、失敗もあるようで、死亡の可能性が無いとは言えないようです。
2つ目は日本でも実験の段階ですが、2月に人間での手術が始まった神経再生手術です。ねずみでの実験では成功したようです。成功例、失敗例はこれからわかるでしょう。
アメリカではこのような手術はしないそうです。理由は人を実験として行わないということと、確実性がないからだそうです。
出来ることなら手術はしたい。でも、無駄に自分の体にメスは入れたくありません。確実に治る事や、信頼性があることならやりたいです。でも『生』と『死』を賭けてまでやる勇気は僕にはありません。
あのクラッシュで死んでもおかしくない状況から命だけでも残ったのですから、この命を無駄にはしたくはありません。お世話になった皆さんに悲しい顔はさせたくありません。
早くレースに復帰してみんなを驚かせたい気持ちは強いです。
まだ、時間はかかるかもしれませんが、後ずさりはせず、前向きに戦っていこうと
思います。皆さんには本当に勇気付けていただいています。
次へ→
←ひとつ前に戻る
TOPに戻る
ヨpiroracing.com